手作りのパン、おいしいですよね。
自分好みにアレンジできるし、焼き上がりを待つワクワクした時間も手作りならではです。
でも思った通りにパンが膨らまないといったことは、パン作りをする上で誰しもが経験したことがあるのではないでしょうか。
ドライイーストを入れたのに膨らまないといった声はよく聞きます。
パン作りにドライイーストは欠かせないものですが、そもそもドライイーストとは何なのでしょうか?
そこで今回はパン屋でパン作りを6年してきた私が
- ドライイーストでパンが膨らまないってどういうこと?
- ドライイーストでパンが膨らまない時の原因
- ドライイーストでパンをうまく作るポイント
についてまとめて紹介いたします。
ドライイーストでパンが膨らまないってどういうこと?

そもそもパン生地はなぜ膨らむのかというと、パンの主な材料である小麦粉に含まれるグルテンとイースト菌と呼ばれる酵母が作用して炭酸ガスを発生させるからです。
発生した炭酸ガスが膨張することでパン生地もふっくらと膨らむんですね。
このグルテンとイースト菌がうまく作用しないと炭酸ガスも発生しないわけですが、イースト菌は生き物であるため本来取り扱いが難しいものです。
しかし、もっと手軽においしいパンを作りたい!といった人たちに向けて作られたのがドライイーストです。
ドライイーストは、グルテンと作用して炭酸ガスを発生させる力の強い、いわゆる「優秀な菌」を集めて製品にしています。
誰が何度作っても同じように膨らむ安定力があるのです◎
なので本来ドライイーストを使えばパン作り初心者の方でもうまく膨らむようになっているのですが、そうでないということは何か原因があるはずです。
その原因をしっかりと取り除けばうまくパンが膨らむようになります。
次の項目でドライイーストを使ってパンが膨らまない場合の原因をみていきましょう!
ドライイーストでパンが膨らまない時の原因

パン生地はとても繊細なので、一丸に膨らまない理由といっても多々あります。
今回はドライイーストが原因で膨らまない原因に特化してみていきましょう。
考えられるのは、
- ドライイーストは古くなっていないか
- 作る生地によってドライイーストの種類を変えているか
ということです。
こちらも詳しく見ていきましょう。
ドライイーストは古くなっていないか
ドライイーストは手軽にパン作りができるように扱いやすく加工されていますが、生き物であることには変わりません。
ドライイーストは開封してからどんどん発酵の力が弱まっていきます。
メーカーにもよりますが未開封だと1~2年、開封後は6か月ほどが消費期限です。
これは正しく保管した場合の期限です。
開封後は密封して冷蔵庫に入れてなるべく早く使い切るようにしましょう。
「そんなに頻繫にパンを作らない」という方は、割高でも1回分が小分けになっているドライイーストを購入することをおすすめします。
また「開封したドライイーストがまだ使えるかどうか確認したい」という方には、少し手間はかかりますが確認する方法がありますよ!
ドライイーストがまだ使えるかどうか確認する方法
- ドライイースト 小さじ1杯ほど
- ぬるま湯(30度ほど) 100㏄
やり方は簡単です。
ぬるま湯の中にドライイーストを入れて混ぜて置いておくだけ。
まだ使える(イースト菌が生きている)ならばブクブクと小さな泡が出てきます。
時間は10分~15分ほどで確認できますが、場合によっては時間がかかることも。
少しの砂糖を一緒に入れて混ぜると、イースト菌の働きがよくなり発酵時間が早くなります。
作る生地によってドライイーストの種類を変えているか
ドライイーストの働きは作る生地の材料によっても変わってきます。
イースト菌は小麦粉や砂糖に含まれる糖を栄養として炭酸ガスを発生させる働きをします。
砂糖がたっぷりと入った甘い菓子パン生地と、砂糖をほとんど入れないような食パンやフランスパンのような生地だと分かりやすいでしょうか。
砂糖の配合量が小麦粉などの粉に対して15%以上のような菓子パン生地だと、砂糖の浸透圧によりイースト菌がうまく働かなくなってしまいます。
糖はイースト菌の栄養ではありますが、多すぎると「食べ過ぎて動けない…」といったようになるんです。
そういうときは、砂糖が多い生地用(多糖生地)のドライイーストを使うといいでしょう。
砂糖が少な目~普通の生地用(低糖生地)の場合のおすすめはこちら。
ドライイーストでパンが膨らまない!といったときには上記を確認して試してみてくださいね◎
ドライイーストでパンをうまく作るポイント

最後にドライイーストでパンをうまく作るための2つのポイントをご紹介いたします!
- ドライイーストをきちんと計量する
- ドライイーストを入れる場所に注意
ポイントを押さえればおいしいパンが作れるので一緒に確認していきましょう。
ドライイーストをきちんと計量する
お菓子作りでもそうですが、パン作りでも材料をきちんと計量することが大事です。
一度にたくさんの生地をつくる場合は別ですが、家庭で楽しむなら生地の量も200gや300gほどではないでしょうか。
そうするとドライイーストも3gくらいの小さい数字を計ることになります。
3gが4gになるだけで約1.5倍弱の量が入ることになります。
とても小さな数字ですが、生地の中のドライイーストの配合率を考えるとこの差は生地の仕上がりに充分関係してきます。
おいしいパンを作るためにも、計量はしっかりとするようにしましょう!
軽量するのがめんどくさい場合は、最初から小分けになっているドライイーストを使ってみるのも手ですね◎
ドライイーストを入れる場所に注意
きちんと計量したドライイーストを他の材料と混ぜ合わせていきましょう。
ここでのポイントは、ドライイーストが活動しやすい(発酵しやすい)状態にすることです。
イースト菌は砂糖などの糖とは相性がいいのですが、塩とは相性がよくありません。
イースト菌は水分と合わさったときに活動を始めるのですが、このときその水分の中に塩があると塩の浸透圧によってイースト菌が死滅してしまうのです。
そうならないようにするためには
- ドライイーストは計量のときから塩とは別にしておく
- ボウルに入れたときに塩とは離して入れる
この2つが大切です!
外の粉類をすべて混ぜ合わせておき、水分をいれてしばらく捏ねてから塩を入れる方法もありますが、手ごねの場合だと均等に生地に塩をいきわたらせることが難しいかも…。
なので、「塩とイーストを離してボウルに入れる」ということにだけ気を付けてもらえれば大丈夫です◎
作ったパンの保存方法についてはこちらも参考にしてみてくださいね♪
パン生地が膨らまなかった話と、失敗した生地を無駄にしなかった方法
パン作りを始めたばかりのころ、よく失敗していました。一時間以上待っても生地がほとんど変わっていない。あの瞬間のがっかり感、何度経験してもなれなかったです。
最初のうちは膨らまなかった時点で迷わず捨てていました。焼いても無駄だろうという判断です。でもある日、ゴミ箱に向かいながら手が止まりました。小麦粉もバターもイーストも、材料費がそれなりにかかっています。一時間以上こねて待った時間もある。なんかもったいないなと思って、テーブルに戻しました。
そこから捨てる前に何かできないか考えるようになって、いろいろ試しました。失敗した生地が意外と使えることがわかったので、その話を書きます。
なぜ膨らまなかったのか、原因がわかるまでに時間がかかった
最初はとにかく原因不明だった
レシピ通りにやっているつもりなのに失敗する。何が悪いのかわからないまま同じことを繰り返していました。レシピのせいにしたり、粉のせいにしたり、とにかく自分以外に原因を探していた時期がありました。
いろいろ調べて試して、ようやく自分のパターンが見えてきました。
イーストが死んでいた
一番多かった原因はこれでした。開封してからしばらく経ったイーストを何も考えずに使っていました。常温の引き出しに入れっぱなしにしていて、活性がとっくに落ちていたみたいです。
イーストが生きているか確認する方法があります。ぬるま湯に砂糖と一緒に溶かして、泡立ってくれば使える状態です。これを知ってから生地を作る前に毎回やるようにしました。古いイーストで一時間無駄にすることがなくなりました。
お湯の温度が適当だった
イーストは温度に敏感です。熱すぎると死ぬし、冷たすぎると動かない。適切な温度は35度から40度くらいとされています。
冬場に水道水をそのまま使っていたことがあって、それが原因で発酵しなかったことがありました。感覚で「ぬるいくらいかな」と思っていた水が実際は冷たすぎた。安いキッチン用の温度計を買ってから、この手の失敗はなくなりました。
部屋が寒すぎた
特に冬場の問題です。発酵に適した温度は28度から30度くらいとされていますが、冬の室温でそこまで上げるのは難しいです。布をかけて暖かい場所に置いていましたが、それでも足りていませんでした。
オーブンの発酵機能を使うようになってから解決しました。発酵機能がないオーブンでも、熱湯を入れたマグカップと一緒に庫内に入れておく方法があります。これで冬場の失敗がかなり減りました。
膨らまなかった生地を捨てずに使った話
最初に試したのはピザ
捨てようとした生地を再利用する方法として一番先に思いついたのがピザでした。パン生地とピザ生地は材料が近いし、薄く伸ばして焼くなら発酵が弱くても関係ないんじゃないかという直感です。
やってみたら普通においしいピザができました。生地を薄く伸ばしてトマトソースとチーズをのせて焼いただけです。クリスピー系の食感になって、これはこれでありだと思いました。失敗生地から作ったとは自分でも思えないくらいにはなりました。
それ以来、発酵が失敗したらとりあえずピザにするが自分の中での定番になりました。
フォカッチャは特に相性がよかった
ピザより少し厚みのあるフォカッチャも試しました。生地にオリーブオイルをなじませてローズマリーと粗塩をふりかけて焼くだけのシンプルなやつです。
発酵が弱いと密度が高めの仕上がりになりますが、フォカッチャはもともとずっしりした食感のものもあるのでむしろ自然でした。失敗している感じが全然しないのが個人的にはポイントでした。
オリーブオイルをしっかり使うと風味が補われて、発酵不足の物足りなさがカバーされます。これに気づいてから油と塩は少し多めに使うようにしました。
クラッカーが一番の発見だった
生地を薄くのばしてクラッカー状に焼く方法は、友人から教えてもらいました。発酵しているかどうかより薄さと焼き具合のほうが重要になるので、膨らまなかった生地でも全然問題ないらしいと。
ハーブと塩をふって焼いたら、チーズやディップと合わせるのにちょうどいいクラッカーができました。正直これが一番の発見でした。失敗生地から作ったとは誰にも言わなくていいし、言わなければわからないレベルのものができます。
グリッシーニも意外とうまくいった
細長いパンスティックのグリッシーニも試しました。細く成形して焼くだけなので、発酵が弱くてもサクサクした食感に仕上がります。
スープに添えたり、チーズと一緒に出したりするとそれっぽく見えます。見た目がちゃんとしているので、失敗から作ったという感覚がなくなります。
再利用するときに自分なりに気をつけたこと
生地の状態は必ず確認する
変なにおいがしたり色が変だったりする場合は使わないほうがいいです。単純に膨らんでいないだけで見た目も臭いも普通であれば、基本的には使えます。判断に迷ったときは使わない選択をしていました。
薄く仕上げるものに向いている
発酵が弱い生地は密度が高くなるので、ふわふわしたパンには向いていないです。ピザ、フォカッチャ、クラッカー、グリッシーニ、全部薄めか密度があってもおいしい系のものです。厚みのあるパンにしようとすると食感が重くなりすぎます。
油と塩で風味を補う
発酵が弱いと生地の風味が少し物足りないことがあります。そこをオリーブオイルやバターと塩でカバーするとだいぶ違います。ピザならソースとチーズが同じ役割をしてくれます。
失敗してよかったと思っていること
捨てる前に考える習慣ができた
パン生地に限らず、料理がうまくいかなかったとき、すぐ捨てる前に一回立ち止まるようになりました。形を変えれば使えることが意外と多いというのは、この経験から学んだことです。
発酵の管理が丁寧になった
失敗したことでイーストの扱い方や温度管理の大切さを実感しました。温度計を一本買っただけで失敗が格段に減ったのは本当のことです。道具への投資を惜しんでいたころが遠い昔のように感じます。
再利用に慣れたのはよかったですが、そもそも失敗しないほうが楽しいので、管理を丁寧にすることのほうが先だと今は思っています。
まとめ:膨らまなくても使い道はある
パン生地が膨らまないと、その時点で終わった気持ちになります。以前の自分はそこで捨てていました。でも薄く焼くものに変えてみたら、普通においしいものができた経験が何度もありました。
ピザ、フォカッチャ、クラッカー、グリッシーニ、全部膨らまなかった生地から作れます。材料を無駄にしたくないときは試してみてください。意外とどうにかなります。
この記事は個人の体験をもとに書いています。生地の状態によっては使用できない場合もあります。食品の安全には十分ご注意ください。